研究概要 |
超アクチノイド元素シーボーギウム(Sg, Z=106)は周期表上では第6族第7周期に位置する。超アクチノイド元素の化学的性質は軽い同族元素とは異なる挙動を示す可能性があり、興味がある。本研究では、Sgの化学研究のために、気相化学分離法によるSgの化学分離手法を確立し、対象となる^<265>Sgの崩壊様式を明らかにすることを目的としている。 これまで、Sgの同族元素MoおよびWを用いてオンライン等温ガスクロマトグラフ分離装置の最適化を進めるとともに、5族元素への適用可能性についても検討を進めてきた。2力年計画の2年目である今年度、さらに詳細に検討を進めたところ、Wオキシ塩化物の気相化学分離の際、実験条件によっては複数の揮発性化合物が分離に関与もしくは分離中に変換されてしまう示唆が得られた。これは対象核種の半減期の違いによって、異なる揮発性化合物が観測された過去の報告に対応する可能性がある。一方、5族元素Nb, Taについてオキシ塩化物としての化学分離を確認し、それぞれ約20%および10%の効率で気相化学分離することができた。Taオキシ塩化物の等温ガスクロマトグラフ分離挙動は、本研究で初めて観測することができた。さらに、Sg実験に先立ち、超アクチノイド元素ドブニウム(Z=105, Db)について本装置を適用した。DbはSgよりも数倍の反応断面積が期待できる。その結果、気相化学分離されたDbのα壊変イベントを観測することに成功した。本結果により、適切なSg生成条件を選択することにより、本装置を十分Sgに適用でき、 Sgの気相化学分離が可能であることが確認できた。
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