研究概要 |
宇宙インフレーションの決定的証拠となるCMBのBモード偏光を世界最高感度で探索し、世界初検出を目指すことが本研究の目的である。平成21年度はQUIET実験のレシーバー(測定器)をW-band周波数帯のものへとアップグレードした。一方、それまでに取得したQ-bandレシーバーの解析が進行している。 QUIET実験はチリのアタカマ高地(海抜5,080m)でその観測を行っている。研究代表者はW-bandレシーバーシステムの構築と2ヶ月間にわたる現地での設置作業とコミッショニングを米国グループと共同で行い、観測を順調にスタートすることに成功した。平成20年度に開発したソフトウェアも改良し、長期的なデータクォリティモニターとDAQソフトウェアのトラブル自動解決機能を実装した。これにより、データ取得ソフトウェアのトラブルの発見と解決を迅速に行なうことが可能となり、装置のダウンタイムを最小限にとどめている。その他、Q-bandレシーバーでの経験を生かして、検出器の応答性能等の較正を現地で自動的に行なうソフトウェアも実装した。これにより、装置の状態を詳細に理解しながら、安定した観測を行なっている。 平成21年6月まで行なったQ-bandレシーバーによる観測データの解析が進行している。装置の較正手法を確立し、その誤差が最終結果に与える影響の評価もおおむね終了した。取得したデータのクォリティとそれが最終結果に与える影響もまたほぼ理解しつつある。現在、解析はその最終段階にある。
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