研究概要 |
確率密度関数を求める際、検出器の有限な分解能のため応答関数を用意して、畳込みを行うといった作業を行う。しかし、今回の方法では、畳込みを行わないといけないパラメータが多いため、その作業が複雑になる。場合によっては、解析的に畳込みを行うことができないために、コンピュータを使って計算を行う必要があると考えられる。そのため、畳込みの計算など確率密度関数をできるだけ容易に求められるよう、効率の良いパラメータのとり方が必要になる。このように、この解析では、複数の要請から、最尤法に使われるパラメータに対しては、できるだけ効率の良いパラメータのとり方を見つけることが、非常に重要になる。現時点では、統計量が少ないことから、これらの最適化がさほど重要ではない可能性が大きいが、この先統計が増えたときに重要になるのは目に見えている。そこで、解析方法の最適化を行った。その結果、ダリツ平面の解析では一般的なパラメータであるS^+=m(K^+Ks)^2,S^-=m(K^-Ks)^2ではなく別のパラメータを使用したほうが、良い収束を得られることがわかった。 現在の統計では、この解析手法を用いた時、複数の解が現れ、この崩壊過程だけを使用してこれらを区別するのは難しいことが分かったので、別の測定結果を用いて最適解の選択を行う手法を作った。また、統計データが多くなると、この想定だけで区別が可能であることも分かった。 この方法を用いて、KKKs崩壊過程でのCPの破れの大きさを測定を行い、標準模型と矛盾しない結果が得られた。この結果を、学会で発表し、Physical Review Dに投稿した。
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