研究概要 |
研究代表者らは第一2^+ 励起状態の寿命測定を行い、中性子過剰な^<16, 18>Cにおける換算遷移確率B(E2)の異常を明らかにした。安定核近傍では、陽子・陽子または中性子・中性子よりも、陽子・中性子間の相互作用が強いため、原子核内の陽子と中性子はほぼ同じ四重極集団性を示すことが常識とされている。ところが、我々が行った実験から、^<16, 18>CのB(E2)が異常に小さく、陽子の四重極集団運動への寄与が異常に小さいという従来の常識に反する結果が得られた。研究代表者はこの結果をまとめて米国のPhysical Review C誌に投稿し、論文は2008年7月に掲載された。また、この結果を日本及び海外で行われた国際会議(中国・HNP08、ポーランド・ENAM08、ニュージランド・Kernz08)で発表し、各国の研究者と議論して意見交換をした。 ^<16, 18>CのB(E2)異常の解釈として、新しい陽子"魔法数"Z=6の出現が挙げられるが、これを確かめるために、まず、炭素同位体及び周辺の原子核のcharge-changing cross sectionを測定し、陽子半径を決定する予定である。この実験について既に大阪大学核物理研究センターに実験計画書を提出し、実験の承認を得ている。本年度は実験に向けて準備を進めており、検出器の設計及び発注をし、年度末に検出器を納入する予定である。 炭素同位体における中性子の四重極集団性について、研究代表者らが行った^<16>Cの陽子非弾性散乱実験から、^<16>Cでは四重極集団運動は主に中性子によることがわかったが、^<18>Cについて、既に実験が行われ、データ解析は現在進行中である。
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