研究概要 |
高エネルギー重イオンビームの破砕反応によって生成される高エネルギーのベリリウム同位体を高周波イオンガイド法で高効率に減速・冷却し,イオントラップ中に捕獲してレーザー冷却することで極低温まで冷却し,その原子準位に対する超精密レーザー分光によって,中性子ハロー核Be-11を含むベリリウム同位体の二乗平均荷電半径を核モデルに依存することなく系統的に測定することを目的とした実験を進めている。荷電半径を精度良く得るために,冷却用レーザーと弱いプローブ用レーザーを使ったレーザー・レーザー二重共鳴法を用いる。レーザー冷却で十分冷却されたイオンに対し,自然幅(18MHzに)近い極狭い幅のスペクトルを観測し,2S-2P準位間共鳴周波数を数MHzの精度で測定する。Be-7,9,11に対し,1mT程度の低磁場中にてこの分光を成功させ,ほぼ自然幅のローレンツ型スペクトル観測に成功し,2S1/2-2P3/2遷移間周波数を3MHz以下の精度で決定した。また,Be-10に関してはゼロ磁場中で自然幅の対称型のレーザー冷却スペクトルを観測することに成功し,2S1/2-2P3/2遷移間周波数を0.5MHzの精度で決定した。これらの結果から,ベリリウム不安定同位体Be-7,10,11の荷電半径を3%の精度で決定した。今後は,同様のレーザー・レーザー二重共鳴法を用いて,2S1/2-2P1/2遷移間周波数も測定し,荷電半径をより精度・信頼度高く決定するべく実験を遂行する。
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