研究概要 |
高エネルギー重イオンビームの破砕反応によって生成される~1GeVの高エネルギーベリリウム同位体を、高周波イオンガイド法で高効率に減速・冷却し、線形ポールトラップ中に捕獲してレーザー冷却により~μeVの極低温まで冷却し、その原子準位を超精密レーザー分光することによって、中性子ハロー核Be-llを含むベリリウム同位体の二乗平均荷電半径を核モデルに依存することなく系統的に決定することを目的とした実験を遂行した。昨年はレーザー・レーザー二重共鳴法を用いて2S-2P準位問共鳴周波数を精度良く決定し荷電半径を導出したが、転移準位の同定に曖昧さが残っていたため、本年度はレーザー冷却転移と同じ転移周波数を、プローブ光と冷却光を交互に照射して測定した。レーザー冷却スペクトルは、その過程で起こる非線形的な冷却・加熱のため、スペクトルが非対称的となり転移周波数の精密決定には不向きである。本研究では冷却光とプローブ光を数十μ秒ごとのサイクルで交互に照射しながら、プローブ光の周波数を掃引することで、冷却転移の対称型スペクトルを得る。Be-7,9,10,11に対し、lmT程度の低磁場中にてこの分光を成功させ、自然幅に近い幅のローレンツ型の対称型スペクトルの観測に成功し、かつ、スペクトル観測と同時にプローブレーザー周波数を周波数コムで測定することで、2Sl/2-2P3/2遷移間絶対周波数を3MHz未満の精度で決定した。この結果から、ベリリウム不安定同位体Be-7,10,11の荷電半径を~2%の精度で信頼度高く決定した。
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