研究概要 |
半導体微小共振器を用いた高効率な量子もつれ光子対生成の実現に向けて,本年度は以下の研究成果を上げた集 (1)より現実的な実験に則した光子対生成スキームを新たに開発した.このスキームを用いると, 単一波長, 2ビームを用いる典型的なポンププローブ測定と同様の比較的単純な系で実験できることになる.また, 生成効率も従来の理論に比べて十分高いことも計算から証明された.これにより, 最終的な実験のための理論的枠組みはほぼ準備が整ったことになる. (2)新スキームに対応する試料の作製法, 特に重要なパラメータであるRabi分裂の大きさの制御の方法を理論的に提案した.本研究で用いているCuCl微小共振器は申請者のグループが初めて作製したものであり, 各種パラメータ制御などの方法は一切確立されていなかった.この理論的提案により目標の試料作製の指標が明らかとなった. (3)実験的に得られたRabi分裂の値の変化を精度良く説明することに成功した.実験結果と理論の比較により実際にRabi分裂などのパラメータを制御できることを示した.以上により, 実験に必要なパラメータを有する試料を作製できることが証明された. (4)実験的にも新スキームに必要なパラメータを有する試料を作製できることを確認した.最終的な光子対生成実験に必要な試料を作製することに成功した- (5)HfO_2/SiO2とPbCl_2/NaFを用いたDBRとそれを用いた微小共振器の開発に成功した, 共に, 従来のPbF2/PbBr, を用いたものよりも, 劣化しにくく反射率などの性能も高いものが作製できた. 以上, 本研究の最終目的へ向けて複合的に大きく前進できたと考えられる.
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