6テスラまでの磁場印加熱分解により、熱分解炭素試料を作製し、その磁気特性を調べた。熱分解生成物から、室温でも強磁性の試料を得ることができた。その最大自発磁化は300Kで3.0emu/gであった。SPring-8の放射光X線回折実験により、その結晶構造を調べた。強磁性試料については、ダイアモンド構造のピークが観測された。これより、ダイアモンド構造中の欠陥により、ラジカルスピンの強磁性秩序が起きた可能性がある。ダイアモンドピーク強度は試料合成の際の印加磁場に応じて増大した。したがって、炭素系磁性体の中で3次元強磁性構造を形成するのを磁場が補助しているのかも知れない。また、ダイアモンド粉末を入れて6テスラの磁場印加熱分解を行うことにより、300Kで6.4emu/gのより高い磁化を示す強磁性試料が得られた。強磁性熱分解炭素の結晶成長はダイアモンド粉末上で促進されたのかも知れない。これは、上で述べた放射光X 線回折実験結果と矛盾しない。
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