非一様ポテンシャルを持つ粒子系における強相関効果が、物性物理の分野において注目されている。典型例として、遷移金属酸化物におけるヘテロ接合系や閉じ込めポテンシャル中の光格子系が挙げられる。これらの系においては、金属‐モット絶縁体や超伝導‐モット絶縁体などの複数の量子相からなる共存相やBCS‐BECクロスオーバーなど興味深い現象が観測されており、その低温物性が実験的にも理論的にも精力的に調べられている。しかしながら、有限温度の振る舞いや励起状態、さらにはポテンシャルの変化により共存相がどのように時間発展するのかについては、非一様系における強相関効果の理論的な取り扱いが難しく、これまであまり議論されていない。ここでは、動的平均場近似や動的クラスター近似、時間発展密度行列繰り込み群法などの数値的解析を行うことによってこの問題に取り組み、非一様ポテンシャル中の相関粒子系における物性を明らかにすることが本研究の目的である。この目的のため、具体的なテーマを通して強相関粒子系の低温物性について系統的に議論する。
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