4GPa以上の圧力発生が可能なインデンターセルを用いて、鉄系超伝導体の圧力効果を電気抵抗とNMR測定を用いて調べた。NMRには試料容積の増加のため、新たに開発した大型インデンターセルを用いた。 FeSeにおいては常圧で8Kであった超伝導転移温度が高圧下で37Kまで上昇すること、約1GPaあたりに転移温度が圧力依存しない領域が存在することを電気抵抗測定から明らかにした。さらに圧力下のNMR測定も行い、他グループによって行われた圧力下X線回折測定の結果を踏まえて、超伝導転移温度とSeのFe面からの高さ、さらに磁気揺らぎに密接な関係があることを見出した。 SrFe_2As_2では前年度に観測した圧力誘起超伝導に加えて、超伝導が出現する圧力が一軸的な圧力に非常に敏感であることを明らかにした。この系の圧力誘起超伝導はいくつかのグループ間での再現性が悪いことが問題であったが、その原因が圧力の一軸性にあることを指摘した。 さらに新たに見つかった超伝導体Sr_2VFeAsO_3の常圧における37Kの超伝導転移温度が圧力下で46Kまで上昇することを発見した。
|