1次元および1次元鎖が弱く結合した異方的2次元のフェルミ粒子系の動的性質について厳密解を用いて詳細に調べ、ボーズ粒子系の場合との比較を通じて、相互作用するフェルミ粒子系で現れる準粒子の特徴を明らかにした。まず、1次元鎖上で相互作用するスピンレスフェルミ粒子系のスペクトル関数をべーテ仮設法の厳密解を用いて詳細に調べた。その結果をハードコアボーズ粒子であるスピン1/2のスピン鎖の性質と比較したところ、フェルミ粒子とボーズ粒子の統計性の違いによって、ギャップレス点やスペクトル関数の形状が異なることがわかった。また、その違いはべーテ仮設法で現れるベーテ量子数の分布の違いによって簡潔に説明できることが明らかになった。さらに、高エネルギー領域に現れる連続体の性質についても、べーテ仮設法の2-ストリング解を用いた解析によって明らかにすることができた。次に、これらの1次元系の結果が2次元系の性質とどのように関連するのかを調べるために、1次元鎖間にフラストレートした結合を導入した異方的2次元のモデルを考え、鎖間ホッピングによる準粒子描像の変化について、粒子間斥力の強い極限での厳密な解析を行った。その結果、鎖間を移動する際に、1次元系の準粒子が結合状態を形成し、それが通常のフェルミ液体理論で現れるものと同様な準粒子として振る舞うことがわかった。この場合においても、粒子の統計性の違いを反映して、分散関係やスペクトル強度分布などがボーズ粒子系の場合とは異なることが明らかになった。
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