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2008 年度 実績報告書

イリジウム酸化物の強相関電子物性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20740211
研究機関東京大学

研究代表者

大串 研也  東京大学, 物性研究所, 特任教師 (30455331)

キーワードイリジウム / 電子相関 / 遷移金属酸化物 / 磁気構造 / 放射光磁気回折 / 層状構造 / ポストペロブスカイト / パイロクロア
研究概要

ポストペロブスカイト型イリジウム酸化物CaIrO_3の単結晶育成に成功した。CaCl_2をフラックスとし、1250℃から徐冷することで、最長大2mmのa軸方向に伸びた針状結晶を得た。育成試料に対する磁化測定から、115K以下で発現する弱強磁性がb軸方向を向いていることを明らかにした。磁気構造の詳細を解明するために、放射光磁気ブラッグ回折実験を実施した。入射エネルギーをイリジウムのL_3吸収端に合わせ、共鳴効果により強度を稼ぐことで、一般には弱い磁気反射の観測に成功した。磁気反射は001(1 : 奇数)であり、これはa, b軸方向に強磁性、c軸方向に反強磁性的に結合するスピン配置モデルで説明することができる。こうしたスピン配置は、IrO_6八面体が頂点共有する方向に反強磁性、稜共有する方向に強磁性的に結合することを予言するGoodenough-Kanamori則と整合する。群の表現論を用いた解析により、スピンの方向に関する情報が得られる。スピンは基本的にはc軸方向に向き、わずかにb軸方向にキャントしていることが推論された。こうしたキャントの起源として、Irサイトにおける単一イオン異方性が主要な役割を果たしていることが予想される。本年度の成果は、翌年度に計画している、1. 磁気反射のエネルギー依存性(共鳴効果)の解明、2. 磁気反射の偏光依存性の測定、3. 散漫散乱の観測、4. LS分離、の礎となるものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ポストペロブスカイトアナログ物質の探索および物性研究2008

    • 著者名/発表者名
      大串研也
    • 雑誌名

      高圧力の科学と技術 18

      ページ: 237

    • 査読あり
  • [学会発表] 放射光磁気回折を用いたCaIrO_3の磁気構造の研究2009

    • 著者名/発表者名
      大串研也, 大隅寛幸, 杉本邦久, 山浦淳一, 片山尚幸, 有馬孝尚, 高木英典
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      立教大学
    • 年月日
      2009-03-27
  • [学会発表] パイロクロア型酸化物における反転対称性の破れ2008

    • 著者名/発表者名
      大串研也, 市原正樹, 木内陽子, 松下能孝, 山本文子, 高木英典
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-09-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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