イオン液体による遷移金属化合物への高密度キャリア注入の前段階として、イオン液体を用いた高密度キャリア注入技術を更に向上させるため、イオン液体をゲート絶縁体として用いた有機単結晶電界効果トランジスタを作製し、その基本性能を評価した。 1) n型有機材料昨年度までは、ホールが移動する有機材料(p型)に関してイオン液体を用いることで高密度キャリア注入が可能であることが明らかになった。本年度は、電子が移動する有機材料(n型)に関しても、有機FETを作製したところ、p型と同様にn型に関しても高密度キャリア注入ができることを明らかにした。またn型の場合は、特にイオン液体中の水分に気をつけなくては行け無い事を明らかにした。またn型の材料に関しては、最適なイオン液体の材料を選ぶ事で、従来よりも2桁高い電子移動度を実現できることを明らかにした。 2) イオン液体の性能向上イオン液体を用いて、効率よく高密度キャリア注入を行うためには、イオン液体の解離度の向上が不可欠であることが明らかになった。そこでリチウムやカリウムなど電子陰性度の高いイオンを添加することで、イオン液体の解離度を向上させ、実際に注入できるキャリア量が向上することが明らかになった。また添加したイオンによって、電子移動度の劣化などは抑えられる事が明らかになった。
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