研究概要 |
イオン液体電界質の電気二重層を利用して、様々な半導体材料に高密度キャリア注入を行った。特に層状遷移金属酸化物に関して、高密度キャリア注入を行うことで絶縁体状態から金属状態まで転移を行うことに成功し、本研究の主目標の達成を行う事ができた。 1,p型有機半導体 昨年度までに構築してきた知見を活かし、高い電荷移動度をもつ高品質ルブレン単結晶に関して、イオン液体により高密度キャリア注入を行ったところ、伝導度は36uSまで到達することが明らかにした。この値は、2次元の量子抵抗値に限りなく近く、半導体であった有機材料を金属状態近傍まで持って来る事に成功した。 2,n型有機材料 電子が移動する有機材料(n型)に関しても、有機FETを作製したところ、p型と同様にn型に関しても高密度キャリア注入ができることを明らかにした。n型の材料に関しては、最適なイオン液体の材料を選ぶ事で、従来よりも2桁高い電子移動度を実現できることを明らかにし、イオン液体を利用した、低電圧駆動が可能な有機論理回路の作製に成功した。 3,遷移金属酸化物 遷移金属酸化物であるニッケル系の酸化物に関して、電気二重層を利用して高密度キャリア注入を行ったところ、絶縁体であったニッケル系の材料が、金属へ転移することが明らかになった。また絶縁体状態から、金属状態へ変化した際の伝導度の変化は60000%と非常に大きく、On-Off比の高いデバイスを作る事に成功した。
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