本年度の研究成果とし発表したうちの一つは、四体リング交換相互作用をもつスピン1/2の梯子系に、本研究のキーワードである幾何学的位相を用いた相分類の手法を適用し、かつ系が一次元である事を生かして密度強烈繰りこみ群も用いて数値計算したもので、去年度の成果の続きである.本研究成果の重要な結論の一つは、幾何学的位相(ここでは量子化ベリー位相)を用いることにより、今まで知うれていたスピンシングレットだけでなく、四体リング交換相互作用を反映したプラケットシングレットを検出することが可能となったことである。これにより、四体リング交換相互作用の持つフラストレーションから来る多彩な相のうちの一つであるdominant vector chirality(DVC)相を特徴づけることが可能となった。また境界に依存して存在するエッジ状態の存在と、そこでのベリー位相の関係を明らかにした。二つ目の発表は、幾何学的位相を、数学的に厳密な証明が可能なフラットバンド模型に適用したもので、現在投稿中(ArXiv. 0907. 4564)である。また、これとは別に密度行列繰りこみ群において重要な行列積状態について解析的手伝(ベーテ仮設)から考える論文も現在投稿中(ArXiv. 0911. 4215)である。本研究の特色である幾何学的位相はその適用の舞台を広げ、密度行列繰りこみ群という数値計算手法の新展開について解析的手法からアプローチ可能である事がわかった。
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