研究概要 |
本研究機関2年目に当たる今年度は、これまでの双対変換の解析的な枠組み意を利用して応用に終始した研究を行った.大きな成果として以下の2点を挙げる. (1) 量子情報理論で最近注目を集めているトーラス符号やカラー符号といった量子情報における誤り訂正符号の問題に双対変換を利用して,その具体的で非常に正確な修正限界を定めるという性能評価をおこなった.本研究は周辺分野の研究者の注目を集めて共同研究となり発展している. (2) スピングラス現象を記述する最小模型のひとつであるランダムボンド型のイジング模型に対して,2次元におけるスピングラス相の安定存在可否について,解析的に世界で始めて,その存在を否定した.これは双対変換のスピングラス模型に対する応用的な成果として非常に顕著な例である. 前年までの基礎的研究を大きく発展させて以上のような発展的成果をあげることができた. また次年度以降においても引き続き発展の可能性を秘めた基礎的な研究が萌芽している.具体的には今年度末に公表した成果であるが,スピングラス模型の中で重要となるランダムネスの影響がどのように効果をもたらすのかを極めて正確に調べ上げた.これまでの既存の研究の結果の不正確な部分を指摘しており,次年度以降の本研究課題の完成へ向けて中核をなす成果のひとつを挙げたといえる. 他にも研究成果を広く公表するために多くの学術会議へと参加して発表を行い,共同研究に発展する議論を活発に行ってきた事も特筆しておく.
|