研究課題
細胞内のシグナル伝達波の運動について、空間方向の様々なパラメータ成分が一様ではなく、系も非対称であることが一般的である。本年度は通過と反射、そしてバンプ付近に捕縛されるパルス解等、バンプ型非一様媒質中における振舞いを、パルス解と空間非一様性との衝突現象と捉えて、分岐点近傍でのパルスダイナミクスを解析した。バンプ形状に非対称性を導入し、左右対称な場合との比較によって、パルス解の一方向伝播(整流)現象等、非一様で非対称な媒質中に特有な振舞いと、その出自の機構を明らかにした。分水嶺解の役割を担う欠陥パルス解の分岐構造を数値的に調べ、パルスの捕縛の振舞いには、欠陥パルス解から生じた振動解の大域分岐のメカニズムが重要であることを示した。局所・大域分岐構造について、非対称性により生じた不完全性の詳細と、それらのパルス解の振舞いへの影響も示した。これらの結果は、2008年7月にイタリアローマ大学で行なわれたSIAM Confbrence on Nonlinear Waves and Coherent Structuresにて口頭発表を行い、論文としてPhysical Review E誌に発表した。この論文はVirtual Journal of Biological Physics Research 17(8)(2009)に選ばれて注目されている。これらの解析手法を空間2次元のスポット解の問題に適用するため、研究協力者らとの打ち合わせ、及び情報交換を定期的に行った。
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