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2010 年度 実績報告書

非線形非平衡系にみられる間欠性ゆらぎの統計力学とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 20740227
研究機関日本大学

研究代表者

清野 健  日本大学, 工学部, 准教授 (40434071)

キーワード間欠性ゆらぎ / 非対称間欠性 / 心拍変動 / 心臓突然死 / 時系列析 / リスク解析
研究概要

1.非対称間欠性時系列の解析法の開発
前年まで我々が取り組んできた間欠性時系列の解析では,平均値まわりでの対称な変動を対象としてきた.しかし,生体信号や経済時系列では,正負方向の変動を生むメカニズムが異なることも考えられるため,これまでの方法では,そのような非対称性を示す時系列の詳細な特徴付けは不可能であった.そこで我々は,中央値を代表値として正負方向の非対称性が見られる間欠性ゆらぎの解析法を開発した.我々の方法では,非対称非ガウス分布のみで特徴付けられる確率過程だけでなく,正負方向の変動幅の相関の違いにも注目し,その分析法を新たに導入した.
また,このような非対称間欠性を生む離散確率過程についても考案した.この確率過程は,乱流の現象論的モデルとして提案されている確率カスケード過程を一般化したもので,中央値まわりの正負方向で別々のカスケード過程を仮定している.この過程で理論的に予言される値が,我々の導入した解析法で正しく推定されることを確かめた.
2.心拍変動の多重スケール解析
人の心拍数は主に自律神経系からの制御を受け絶えず変動している.これまで,自律神経系機能の異常と心臓突然死との関連性が知られており,心拍変動解析を通じた自律神経機能の評価が心疾患の予後予測に有効であることが示されてきた.我々は,心拍変動の解析に,非線形非平衡現象を特徴付けるための指標を応用した.生体システムには多様な生理学的機序が働くため,心拍変動には時間スケールの異なる複数のダイナミクスが反映されていると予想される.そこで,単に指標を推定するだけでなく,心拍変動時系列の粗視化を導入し,心拍変動に見られる特徴的時間スケールが同定できる多重スケール解析法を考案した.
この方法を慢性心房細動などの時系列に応用し,心臓突然死や脳梗塞の予測因子である可能性がある時間スケールと指標を見出した.今後,より大規模なデータベースに我々の開発した方法を適用することで,死亡リスクの予測に役立つ新たな情報を抽出できる可能性を示唆した.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 間欠性ゆらぎの非ガウス統計とその心拍変動解析への応用2011

    • 著者名/発表者名
      清野健
    • 雑誌名

      精密工学会誌

      巻: 77 ページ: 153-157

  • [雑誌論文] Log-amplitude statistics of non-Gaussian fluctuations2010

    • 著者名/発表者名
      Ken Kiyono
    • 雑誌名

      Journal of Physics : Conference Series

      巻: 221 ページ: 012010

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Intermittent characteristics of healthy heart rate variability

    • 著者名/発表者名
      Ken Kiyono, Naoaki Bekki
    • 雑誌名

      Pacific Science Review

      巻: (出版予定)

    • 査読あり
  • [学会発表] 間欠性ゆらぎの対数振幅にみられる長時間相関2011

    • 著者名/発表者名
      清野健, 戸次直明
    • 学会等名
      日本物理学会第66回年次大会
    • 発表場所
      新潟大学
    • 年月日
      2011-03-28
  • [学会発表] 心拍変動の間欠性と非対称性2010

    • 著者名/発表者名
      清野健, 戸次直明
    • 学会等名
      日本物理学会2010年秋季大会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2010-09-25
  • [学会発表] 心拍変動にみられる非対称間欠性2010

    • 著者名/発表者名
      清野健
    • 学会等名
      医用診断のための応用統計数理の新展開II
    • 発表場所
      統計数理研究所
    • 年月日
      2010-09-17
  • [学会発表] 非ガウス統計を応用した心拍変動解析2010

    • 著者名/発表者名
      清野健
    • 学会等名
      リズム現象の研究会V
    • 発表場所
      御茶ノ水女子大学
    • 年月日
      2010-05-28
  • [図書] 心臓突然死を予知するための不整脈ノンインベイシブ検査2010

    • 著者名/発表者名
      吉岡公一郎, 清野健
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2012-07-19  

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