研究課題
本年度は永久電気双極子モーメント(pEDM)精密測定の準備を行った。これまでの常磁性原子のpEDM測定では原子ビームやセルを用いていたが、原子集団の運動やコヒーレンスによって測定精度が制限されていた。そこで本研究では原子集団をレーザー冷却技術によって冷却、真空中に捕捉し、コヒーレンスを高めることで測定精度を上げることを考えた。測定対象の原子としてセシウム原子を、比較対象としてルビジウム原子を選択し、これを同時に冷却するための装置を組み立てた。この装置には、高真空下で原子集団を捕捉する必要があるため、二重磁気光学トラップを組み込んだ。また、pEDMに影響せず、原子集団のコヒーレンスを壊さない捕捉である三次元青方離調光格子も組み込んだ。pEDM測定には安定均一磁場が必要なので、装置を三重磁気シールドで覆った。この装置では、まずルビジウム原子の捕捉を試み、二重磁気光学トラップで10^8個程度の原子を捕捉した。また、光格子に必要な光共振器を組んだ。しかし、共振器内損失が大きいために望んだ性能が出なかった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Physical Review A Vol.81, 2
ページ: 021605
