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2011 年度 実績報告書

細胞内環境を想定した反応拡散系モデリング

研究課題

研究課題/領域番号 20740243
研究機関神戸大学

研究代表者

冨樫 祐一  神戸大学, システム情報学研究科, 講師 (50456919)

キーワード生物物理学 / 分子機械 / 細胞 / 超分子混雑 / 自己組織化 / 反応拡散系 / 位相振動子系 / 時空間パターン
研究概要

生物の細胞内は、酵素など分子機械を含む多種多様な分子で混雑した、不均一な環境である。本研究の目的は、このような環境での反応拡散過程が、通常の反応拡散系(偏微分方程式系)の振舞いとどう異なるかを明らかにすることである。前年度までに、反応に伴う分子機械の構造変化が周囲に及ぼす影響、また、分子間の力学的な相互作用が反応過程に及ぼす影響を表現できる簡単なモデルを構成した。シミュレーションにより、時空間パターンや反応速度の相転移的変化、隣接分子による障壁の効果などが確認された。特に、反応生成物が分子機械(酵素)を活性化する場合に、一定の条件の下で、分子機械の動作(構造変化)が基質・生成物の流れを促進すること、これにより、不活性な分子機械のクラスタと、活性化された分子機械を含む流路との分離が起こることが観察された。
本年度は、この現象に注目し、パターンの発生条件や時空間スケールなどの詳細を検討するとともに、実際の細胞内環境における現象の可能性を考察した。また、分子機械と低分子とが分離したパターンも観察されたため、同時に検討を行った。特に拡散が遅い場合、分子機械の動きが周囲の基質や生成物の輸送の様相を大きく変化させ、空間的な構造(クラスタ)の安定性にも影響することが示された。
以上の成果は、国際会議・学会等で発表したほか、現在、雑誌論文として公表準備中である。
これらの結果は、混雑環境下において、分子機械の構造変化と機能との相関が、系の時空間パターンに顕著な効果を及ぼす可能性を示しており、細胞内における分子の「動き」の重要性を示唆している。特に、これまで反応拡散系とは独立に研究されてきた、生体分子機械のモデリング・動力学シミュレーションと組み合わせることで、化学・力学的相互作用が複合したシステムである細胞の振舞いの理解に役立つと期待される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 生体分子機械システムの構造形成~障壁と分子構造変化の効果2012

    • 著者名/発表者名
      冨樫祐一
    • 学会等名
      日本物理学会第67回年次大会
    • 発表場所
      関西学院大学(兵庫県)
    • 年月日
      2012-03-25
  • [学会発表] 混雑した分子機械システムにおける反応・輸送・力学的応答2011

    • 著者名/発表者名
      冨樫祐一
    • 学会等名
      日本物理学会2011年秋季大会
    • 発表場所
      富山大学(富山県)
    • 年月日
      2011-09-22
  • [学会発表] Modeling Bio-Molecular Machinery in the Complex Environment inside the Cell2011

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Togashi
    • 学会等名
      The 11th IEEE/IPSJ International Symposium on Applications and the Internet
    • 発表場所
      Holiday Inn Munich City Centre(ドイツ)(招待講演)
    • 年月日
      2011-07-19
  • [備考]

    • URL

      http://www.togashi.tv/lab/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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