研究課題
π共役系炭化水素分子における反磁性環電流発現機構の解明ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等、π共役系炭化水素分子において、外部磁場を付加すると反磁性環電流が誘起されることは、100年近く前から知られているが、なぜ反磁性環電流が誘起されるのかその理由は解明されていない。このことを踏まえ、ポリアセン、環状アヌルン分子の他、直鎖状ポリアセチレンにおいて反磁性電流が誘起されるメカニズムを理論的に提案した。また固体における超伝導性と、一分子内における反磁性環電流の関連性と相違を指摘し、超伝導性に関して、BCS理論のみでは説明できない系における、より普遍的な理論を提案した。特に、なぜ、π共役系炭化水素分子においては室温で超伝導的な反磁性環電流が広く観測されるのに対し、バルクでは、非常に低温でしか超伝導性を示さないのかを、固体物理学と量子化学の知見を用いて考察した。特に、BCS理論で説明されるような従来のバルクの超伝導では、クーパー対(電子対)が本質的に非常に脆い状態であることを理論的に解明した。この理論を基に、室温超伝導設計指針を、従来の方針とは全く異なる視点で提案した。バルクの物質において価電子帯と伝導帯のエネルギー差が一分子におけるHOMO-LUMO gap並みの大きさ(およそ4eV以上)をもち、完全閉殻電子状態であればその電子状態が室温で超伝導性をもつ可能性があることを示唆した。特に非常に純粋なダイヤモンドが室温で(超伝導臨界温度は10^4-10^5Kのオーダー)超伝導性を示す可能性について示唆した。
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Chem. Phys. 345
ページ: 1-13
Electron-Phonon Interactions and their Applications to Novel Nanoelectronics (NovaScience Publishers, New York) (総説、依頼執筆)(印刷中)