現在の地球型惑星の特徴における普遍性と特異性を明らかにするために、地球型惑星形成の最終ステージに注目した研究を行った。このステージは、複数個の火星サイズの原始惑星がお互いに衝突し、合体成長するという激しいステージである。したがって、衝突過程を精密に考慮した原始惑星の軌道進化を解く必要がある。そこで本年度は、太陽のまわりを公転する原始惑星の軌道進化(N体コード)と、その際に起こる原始惑星同士の衝突(流体コード)を一連の計算で扱うことのできるハイブリッドコードの開発を行った。具体的には、N体コードの部分は、4次精度のエルミート解法(Makino & Aarseth 1992)を用いて、原始惑星同士の衝突イベントを見逃すことなく長期軌道積分(〜1億年)を精度よく計算するコードを作成した。また、流体コードの部分は、SPH法と呼ばれる粒子法を用いて、原始惑星同士の衝突を模擬するコードを作成した。ハイブリッド化にあたっては、巨大天体衝突ステージを一連の計算で実行することができるように各コード間のデータの受け渡しに最善の注意を払った。特に、衝突によって変化した惑星旬質量、自転速度と向き、コア・マントル比、衛星形成の有無などを次回の衝突まで情報を保持させた。このハイブリッドコードにより、初めて定量的に、巨大天体衝突ステージ全体を通して、惑星の物理パラメータ(サイズ・自転・コア・マントル比、衛星形成)の進化を追うことが初めて可能となった。
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