研究概要 |
海洋潮汐応答は太陽と月の引力によって海水が移動する現象である。この海洋潮汐応答は地球内部の弾性率構造と密度構造と密接な関係にあり、原理的には海洋潮汐応答から地球の内部構造を推定する事ができる。この海洋潮汐応答をGPS観測によって測定し,地下構造を推定するという新しい手法を開発した。 従来の地震波を用いた手法では、波動の伝搬時間を観測量とするため、P波速度、S波速度を未知数とするが、本手法では、2つの弾性定数と密度構造を未知数とする。また、海洋潮汐応答は12時間あるいは24時間周期の波動であるため、Qを推定することに対しても有効な手法となり得るなど、多くの利点がある。この手法をアメリカ西海岸に設置されている約700点のGPS観測点のデータに適用した結果、深さ220kmの地震波の不連続面が無くなり、アセノスフェアーにおいて、地震波速度の低速度層と低密度異常をGPS観測から推定することに成功した。また,低密度異常は約50kg/m3程度であり、これから推定される、温度異常は300℃程度である。この温度異常が地震波速度の低速度層を形成している可能性があることを定量的に示した。
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