研究概要 |
数値モデルにおいて大気境界層における乱流輸送を再現するためには,パラメタライズされた乱流を適切に表現することが重要である.Large-Eddy Simulation(LES)やレイノルズ平均モデル(RANS)で用いられる乱流パラメタリゼーションの改善を目的として,以下の研究を実施した.まず,LESを用いて安定境界層の数値実験を行い,ジェルマノの恒等式に基づいて,鉛直フラックスの自己整合性の検証を試みた.次に,安定成層の場合にMellor-Yamada-Nakanishi-Niino(MYNN)モデルに見られる問題を解決する目的で,温度・圧力相関の時間スケールを修正することを試みた.MYNN モデルとは異なり,修正したモデルはレベル2モデルにおいて臨界リチャードソン数を持たず,全てのリチャードソン数について乱流の効果が現れる.最後に,フラックスリチャードソン数の大気安定度に対する依存性を同定するために,LES や大型実験風洞を用いた数値的・実験的研究を実施した.その結果,境界層上端ではフラックスリチャードソン数が1 を超える可能性があることが明らかとなった.
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