研究概要 |
地表面から大気に放出される熱と水蒸気の比率は、土壌の性質や植生の状態に強く依存する。その比率が地表に近い大気の状態に影響することが知られているが、その上で発生する降水雲の性質にどのような影響を与えるかはわかっていない。これらは、経済発展に伴う土地利用の改変によって、大気がどのような影響を受けるかを評価する上で必要不可欠な基礎知識である。本研究は、陸面状態が降水雲の性質に与える影響を定量的に評価するため、雲内部の物理過程を再現できる高解像度の数値モデルを用いて、地表の状態を変えた実験を複数実施し、陸面状態の改変に伴う雲の構造や発達速度の変化を調べる事により、降水雲の特性に与える影響を定量的に評価し、陸面状態に対する降水雲の依存性を理解することを目指す。 平成20年度においては、数値実験の実施に向けた事前作業を計画し、実験結果データの保存と解析を行う計算機環境の整備と、数値モデルの動作確認を行った。具体的には、海洋研究開発機構が所有する大型計算機NEC SX-8/SGI Altixの2台に雲解像ストームシミュレータ-CReSSを移植し、並列計算の環境下で計算が正常に行われることを確認した。また、解析サーバーとしてHP Proliant DL380G6と、Newtech製16TBストレージを導入し、解析に用いる計算ツール(IDL,GMT,GrADS等)のインストールを行い、モデル出力データの入出力が正常に行われることを確認した。さらに、数値実験の初期設定に用いる気象データの収集を実施し、平成21年度に計画している本実験のための環境構築を行う事が出来た。これによって平成21年度以降の数値実験の実施が可能となった。
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