高解像度大気大循環モデルの出力結果を用いて、赤道準2年振動(QBO)の駆動に対して、赤道域にトラップされた重力波モード(赤道波)と3次元的に伝播可能な慣性内部重力波の役割分担について明らかにした。QBO西風位相時には赤道波が25-50%、重力波が50-75%寄与しているが、東風位相時には赤道波の寄与は多くても10%程度でしかない事が分かった。東西波数帯別にEP-flux収束を計算すると、QBOの東風位相時には東西波長1000km以下の重力波の寄与率が大きい事が分かった。更にQBOを駆動する波の強制力の全球分布を3次元波フラックスを用いて調べたところ、波強制力には西風位相時に特に強い経度依存性があることが明らかになった。以上を2本の論文としてまとめた。次に地球温暖化時のQBOの変化について調べるための気候モデルを構築し、現在気候・将来気候設定でそれぞれ85年間積分を行った。更に、二酸化炭素濃度の違いと海面水温の違いのどちらが支配的か調べるために、現在気候の二酸化炭素(海面水温)及び将来気候の海面水温(二酸化炭素)を条件として与えた実験も行った。励起される重力波のフラックス、位相速度、平均風加速力、残差子午面循環が温暖化に伴ってどのように変わるかを解析した。温暖化時の子午面循環強度の変化に関しては、海面水温分布の違いが支配的なことが分かった。また将来のQBOは現在のQBOに比べて、周期・振幅の高度分布などの面で、違いが見られた。以上の結果を論文としてまとめる作業を開始した。
|