研究概要 |
2008年から2010年にかけてカナダ北域レゾリュートベイにおいて取得された全天高感度光学観測データから・電離圏対流速度を導出し,サブストームのオンセット前後における極冠域プラズマ対流の時間変動を調べた・解析期間が太陽活動極小期にあたるため,解析に用いることができるサブストームのサンプル数が充分でなく,サブストームオンセットの前後における対流の時間変化を数多くの事例に基づいて統計的に解析するにはまだ至っていない.しかし,事例解析においては,オンセットの前に極冠の対流が顕著に変化する兆候を見いだすことができている.ある事例では,夜側極冠域に現れたポーラーパッチが,サブストームが起こる10分ほど前に,極冠域対流のスピードおよび方向の変化に応答する形で朝側へ爆発的に引き寄せられるという非常に珍しい運動をしていた.この奇妙なパッチの運動は,サブストームが起こる少し前に夜側極冠域の境界領域(polar cap boundary)付近でリコネクションによると考えられる対流の増大が生じ,それによって極冠の対流が変化させられている可能性を強く示唆するものである.この観測結果およびその解釈をまとめ,現在Journal of Geophysical Research誌に投稿するための論文を準備しているところである.
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