22年度は、21年度の結果を踏まえ、「1.位相検波回路の再較正」及び、「2.チェンバー実験による、位相差と電子密度の定量的な関係の導出」を試みた。 上記「1」は、以前に得られた位相差のデータが「相対値」であり、定量的な評価を行えなかったことを踏まえて実施したものである。位相検波回路の再較正を行ったことにより、位相差の絶対値を得ることが可能となり、定量的な評価が可能となった。その回路を用いて、上記「2」のようにスペースサイエンスチェンバーを用いた観測実験を実施した。 上記「2」においては、3.2[MHz]~1.4[MHz]のUHR周波数を持つプラズマを観測し、「地球磁場の下」、「磁場なし」及び、「プローブ軸方向のみの磁場」と3種類の環境でそれぞれデータを取得した。まずは簡単な場合として、「地球磁場」と「磁場なし」の2通りについて考察を行っている。 現時点での結論としては、測定された「位相差」と「UHR周波数」の間にはおおよその相関関係が見られるものの、それを「定量的」に求めることは実現していない。その原因としては、位相差が「UHR周波数付近で急峻に変化」し、かつ「位相情報を持った信号がUHR周波数で極小となる」ため、微細な外的要因(チェンバー内のノイズ等)に影響されてしまうことが考えられる。この影響は元々から考えられていたが、当初の予想よりも影響が大きく出ているため、更なる回路の改良が求められる。現状としては、ノイズの影響が少ないデータを選び出すことにより、定量的な関係が求められないか検討中である。
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