研究概要 |
09年度に実施した研究内容は以下の通りである. 1. ベトナム北部・ソンマ縫合帯の温度・圧力履歴の解析 2. ベトナム北部・レッドリバー帯の最高温度・圧力条件の見積もり,温度・圧力履歴の解析および苦鉄質岩の全岩化学分析 3. 中国南西部・大里地域の最高温度・圧力条件の見積もり,温度・圧力履歴の解析,年代分析および苦鉄質岩の全岩化学分析 4. タイ南部・チョンブリ地域の最高温度・圧力条件の見積もりと年代分析 5. タイ西部・インタノン帯に分布する変成岩類の鏡下観察 6. 南極・セールロンダーネ山地の温度・圧力履歴の解析 これらの結果から,本課題の核ともいえる広域的な温度・圧力・時間・原岩条件の推定と温度・圧力履歴解析のうち,広範な温度・圧力条件の見積もりと温度・圧力履歴が明らかとなった.解析したすべての地域で典型的な大陸衝突型変成作用をしめす時計回りの温度・圧力履歴が認められたが,最高温度・圧力条件は衝突域によって異なる.インドシナ地塊と南中国地塊衝突域(ソンマ帯・レッドリバー帯・チュンソン帯・コンツム地塊)では,より深部(地下40km以深)まで沈み込んで形成された岩石が卓越するのに対して,インドシナ地塊とシブマス地塊衝突域(インタノン帯・チョンブリ地域)に分布する岩石は,比較的浅所の条件をしめす.衝突時期を表す変成年代も前者が約2億5千万年前をしめすのに対して,予察的な年代分析では,後者は約1億年前をしめす.また,インドシナ・南中国・思茅地塊の境界に相当すると考えられる大里地域では,約5千万年前のインド亜大陸とユーラシア大陸の衝突による影響が認められ,衝突時期の推定が困難であることが明らかとなった. なお,上記1の成果については,国際誌に公表した.2・6については,現在投稿中である.
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