研究概要 |
2009年と2010年の3~4月と2009年の5月に北部ベトナムに分布する二畳系~三畳系の地質調査を行い、2010年10月は中部ベトチムの三畳系で調査を実施した(2009年5月と2010年3~4月の調査は私費で実施).北部ベトナムの三畳系ランソン層では,三畳系最下部のインデュアン階から多数の二枚短貝とアンモナイト化石を採集し,三畳系オレネキアン階まで層序が連続していることを明らかにした.また,ランソン層を整合で覆うバックテゥイ層からは,多くのアンモナイトや二枚貝化石に加えて地質年代を決める上で重要なコノドント化石ま得ることができた.予察的な観察結果では,アンモナイトやコノドント化石は,主に2層準から産出し,下部と上部オレネキアン階を指示する.二枚貝化石については,インデュアン階から従来の報告通り3~4種のクラライアが多産することを確認した.一方でオレネキアン階からは,1~2種のクラライアとポシドニアが多産した.両階の二枚貝化石の構成で共通する特徴は,化石の産出量は極めて多いものの,種の多様性は蓍しく低い点である.なお,二畳系の二枚貝化石は,保存状態が悪く,種を同定することはできなかった. 中部三畳系からは,多種多様な二枚貝化石を採集し,北部および中部ベトナムの双方でコスタトリアなどを主体とする二枚貝化石群を識別することができた.これらの二枚貝化石群は,波浪卓越型の外浜や陸棚相から産出し,種の多様性が非常に高いことが分かった.これは,古生代末期の大量絶滅後,二枚貝類が放散したのは,中期三畳紀であったことを示している.なお,北部ベトナムの三畳系の調査結果については,ベトナムで開催された国際会議で公表し,その成果の一部については,すでに国際誌に受理されている.また,これらの調査時に採集した現生のオストラコーダについても報告した.
|