研究課題
放射光施設SPing-8に設置されている高圧発生装置SPEED-1500とこれに前年度にセットアップした2次元X線回折測定のための光学系を組み合わせて用いて、高温高圧条件でのカンラン石の応力緩和挙動を定量的に測定した。この結果、カンラン石の比較的低温(<800℃)でのレオロジーは正の活性化体積を持つことが示された。このことからカンラン石によって構成される400km以浅の上部マントルでは、沈み込むスラブの受ける粘性抵抗が深さとともに増大することが示唆される。以上の結果は、地球惑星科学連合大会(2009/05,幕張)AIRAPT-22(2009/07,東京)で口頭発表された。また、Physics of the Earth and Planetary Interiors誌に投稿中である。上記の研究と平行して、メージャライトの化学反応のカイネティクス、マントル遷移層条件での粘性の決定技術の開発を進め、それぞれ予察的な結果を得ている。メージャライトの減圧分解反応は非平衡組成を持つざくろ石と単斜輝石の形成によって始まり、その後のざくろ石中の元素拡散によって進行するらしい。また、愛媛大学におけるDIA型変形装置よる実験では精密な加圧方式の採用により最高20GPa,2000Kの高温高圧条件での変形実験が可能となった。マントル遷移層での粘性流動を定量的に解明するための道具をそろえることができたと考えられる。
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