研究概要 |
これまで微量元素分析等に使用していた既存の電子線マイクロプローブ(EPMA JEOL JXA-8800)が不調のため、別の電子線マイクロプローブ(EPMA JEOL JXA-8200)を用いてU-Th-Pb年代測定ならびに希土類元素の定量分析をおこなうための分析条件の調整とセットアップをおこなった。 分析条件の確認のために、南極セールロンダーネ山地で採取した高度変成岩試料のモナザイト中のU, Th, Pbと希土類元素の定量分析をおこない、イオンマイクロプローブ(SHRIMP-II)による当該地域の最新年代データ(Shiraishi et.al., 2008, In : Geol. Soc. London, Special Publication, 308, 21-67)との比較をおこなった。その結果、SHRIMPで得られている約6億年前と5億年前の2つの年代値を見いだし、ざらにこれまでは主要な地質イベントの時期とは考えられていなかった約6億年前がこの地域の主要な変成作用の時期である可能性を示した。その予察データを日本地質学会年会で発表した。 これまでに副次鉱物の解析と予察的な年代測定データを得ている南極ラウエル諸島に産する超高温変成岩のジルコンU-Pb年代測定を二次イオン質量分析計(SHRIMP)によっておこなった。その結果、太古代にさかのぼる原岩の火成作用の時期と古生代初期(約5億年前)の最終熱イベントの時期を高精度で検証することができた。今後、微量元素の挙動とあわせて解析をすすめていく。 日本鉱物科学会年会において、U-Th-Pb年代測定と高温変成岩中のジルコンおよびモナザイトの挙動について講演をおこなった。 年度終盤から極地研究所の板橋から立川への移転作業がはじまり、それに伴い分析装置を停止した。その間、翌年度に向けて既存データの整理をおこなった。
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