研究概要 |
本研究の全体構想は, 始原的な炭素質コンドライト隕石に含まれる極初期太陽系約46億年前のわずか数百万年間に形成した物質(難揮発性包有物, コンドリュール)に対して, 岩石学的組織同位体組織学を複合した新しい年代組織学を適応し, 形成過程及び形成期間間隔の解明のため, 隕石年代組織学を展開することである。極初期太陽系約46億年前に形成したと考えられている物質を構成している結晶単位毎に, 短寿命核種^<26>Alを用いた高精度相対年代測定法を適応し, 10ミクロンスケールの空間分解能及び時間分解能約10万年の制約を与え, これら結晶固化年代を詳細に比較し, 形成期間及び形成間隔を決定する。極初期太陽系における数百万年間の物質進化に時間軸を高精度に与え, 物質進化モデルを構築することを目指す。 初年度は、より高精度に系統的分析を行うための分析技術の開発を行った。第一に、難揮発性包有物を構成する鉱物に対して時間分解能約10万年の測定技術を開発し、その成果を発表した。また、この年代測定測定技術をコンドライト隕石中の複数の難揮発性包有物に適応し、年代組織学を展開した。その結果、複数回の酸素同位体変動を伴う加熱イベントがあることを明らかにし、それら複数回加熱イベントの年代差を推定することに成功した。これら成果を国内学会、国際学会誌に発表した。また、より数多くの試料を系統的に分析するため、複数試料を長時間真空排気し同時に分析することができるマルチサンプルチェンジャーシステムを試作した。また、より高速に数多くの高精度同位体分析を行うために、複数局所同位体分析を自動化するためのソフトウェアー評価、複数同位体同時検出のためのマルチコレクションシステムにおける検出器の改良、磁場安定化のための核磁気共鳴システムの導入およびその分析システムの評価を行った。
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