本研究の目的は、「レーザー航跡場で、イオンが直接加速可能であることを実証する」ことである。2ビームビート波レーザーを対向照射することにより、重イオンプラズマ中に位相速度の遅いプラズマ波を外部強制振動により励起する。エネルギー50keV以上の陽子が捕獲されうる位相速度の遅い進行波プラズマ波を制御することを目指す。本研究期間内では、位相速度の遅いプラズマ波をビート波レーザーにより、外部制御して励起することを目指す。その為に、2段階のハードルを設けた。1.レーザー伝搬軸に沿って均一密度プラズマを生成する超音速ガスジェットの整備(H20年度)。2.対向照射することにより、位相速度の遅い進行プラズマ波(遅波)の励起(H21年度)。平成20年度は、超音速ガスジェットターゲットを整備し、対向照射系の実験セットアップと遅波検出のための分光計測器を構築した。平成21年度は対向照射実験による遅波励起を試みた。その結果、分光計測により、対向照射した際に、遅波に起因すると思われる散乱光が観測された。航跡場により遅波が制御励起されうる実験的知見を得、第65回日本物理学会年次大会にて報告した。この成果をもとに、平成22年度以降も本研究を継続展開する。レーザープラズマによる新たなイオン加速機構の提唱に発展させたい。
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