研究概要 |
負イオン源からのH-引き出しにおいて, 引き出し孔近傍のプラズマポテンシャル空間分布が決定的な役割をすることが分かっている. 本研究の目的は, 数値計算を用いて, (i)ビーム引き出し用高電圧印加状態下での, 負イオン源引き出し孔近傍における, プラズマポテンシャル構造形成の物理を明らかにすること, 並びに(ii)同条件下におけるH-の輸送・引き出しメカニズムを解明することにある. この2テーゼに関して, それぞれのテーマに適った, 2種類の計算コードを使用して研究を実施している. (i)のテーマに関しては, PICコードを用いて研究を実施している. H20年度にて, 必要なコードの作成は一通り完了した. しかしながら現状のコードでは, 対応する実験データとの比較において, 3倍程度の大きな絶対値の相違がみられる. 現在, 境界条件の設定がポイントであることが分かってきており, 修正作業を行っているところである (ii)のテーマに関しては, 運動方程式を用いたH-の軌道計算コードを使用している. H20年度は, (i)と同様, 実験データとの比較を通じたコードの修正作業を行い, その上で種々のポテンシャル構造におけるH-引き出し確率の計算を実施した. 結果として, H-引き出し確率の絶対値・分布形状の両面において, 実験結果とほぼ一致する計算結果を得ることができた. これにより申請者の計算モデルが, H-引き出しの物理を議論する上で, 実験的裏付けを伴う十分な信頼性を得たと考えている
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