宇宙空間の物質進化のミッシングリンクを解明するため、星間空間に存在する未知の分子からの吸収線Diffuse Interstellar Bands(DIBs)の分光学的な同定を目指す。そのために、熱分解とペニングイオン化等を組み合わせ、星間空間(特にDiffuse clouds)で生存できる分子だけを選択的に生成する。それらの発光スペクトルを高分解能モノクロメーターで測定する。生成した分子の可視光領域の電子遷移スペクトルを高分解能で得るとともに分子構造を明らかにする。この装置を、DIBsの起源として私が予想している非直線炭素鎖分子のイオン種に対して用いる。あわせて、分子軌道計算のプログラムパッケージMOLPROを用いて、これら分子の最適化構造とそのエネルギーレベルを求める。得られた一連の情報から、Diffuse Interstellar Bandsの同定を行う。 20年度は、分光装置の構築を行った。分光装置の設置と調整を行い、それらを制御するシステムを計測用言語LabVIEWを用いて構築した。これらの作業によって、スペクトルの所得の準備が進展した。実験と平行して、分子軌道計算も行った。まずそのための計算機環境を構築した。分子軌道計算プログラムパッケージMOLPROを利用し、非直線炭素鎖分子の構造最適化、振動構造、π-π遷移の遷移エネルギーを計算した。これをもとにして、今後得られるスペクトルを解析する。
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