宇宙空間の物質進化のミッシングリンクを解明するため、星間空間に存在する未知の分子からの吸収線Diffuse Interstellar Bands(DIBs)の分光学的な同定を目指した。そのためには、放電により、星間空間(特にDiffuse clouds)に存在する分子を生成する必要がある。特に、DIBsの起源として注目されている分子イオンを生成する必要がある。 本研究では、20年度に、分光装置で使用する分光器のソフトウェアを開発した。そこで、21年度には、分子イオンを強力に生成できる放電装置の開発に重点をおいた。放電装置の開発は、放電セルの開発と高圧パルス発生装置の開発からなる。高圧パルス発生装置の開発では、最高1500Vの高圧パルスを発生させられる装置の開発に成功した。それにより、希ガスイオンを高い効率で発生させることに成功した。このイオン生成能力により、種々の分子イオンの高分解能測定が可能になった。 現在、この分光装置により最も短い炭素鎖分子であるC_3とC_2のデータを所得し、その解析を行なっている。また、いくつかの炭素鎖分子由来のスペクトルも得られたため、解析を行なっている。そして、これらのスペクトルを元にDIBsの帰属を試みている。
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