星間空間に存在する分子からの吸収線Diffuse Interstellar Bands (DIBs)は、1922年に発見されて以来、いまだに解明されていない。宇宙空間の物質進化のミッシングリンクとなっている。それを解明するため、DIBsの分光学的な同定を目指している。放電を用いて宇宙空間(特にDiffuse clouds)で生存できる分子だけを選択的に生成し、その発光スペクトルを高分解能モノクロメーターで測定し、その可視光領域の電子遷移スペクトルを高分解能で得るとともに分子構造を明らかにすることを目指している。本研究では、これを実現する装置を開発した。今後、DIBsの起源として予想している分子イオン種に対してこの装置を用い、得られた一連の情報から、Diffuse Interstellar Bandsの同定を行うことが可能となった。この装置では、ホロカソードを用いて1500Vで放電を行い、ラジカルやイオンを生成することが出来た。その発光を高分解能分光器HORIBAJobin Yvon iHR320 (200-800 nm、1200~1800本/mm回折格子3枚)もしくは、Actron Research Corporation Spectro pro275(可視~1600nm、600本/mm)を用いて分光を行なった。光電子増倍管を用いて検出された信号は、位相敏感検波器Femto LIA-MV-200-Lを介して計算機に記録された。観測の結果、アルゴンイオンのスペクトルが強く観測された。イオンを効率よく生成し測定できる分光器が開発できた。
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