研究課題
本研究は、高価な白金やロジウム錯体の代わりに安価な鉄錯体を触媒として、これまでに達成されていない様々な3級シランをアルキルリチウムなどの添加剤を用いることなく脱水素反応によりカップリングさせることを目的としている。今年度は空気や湿度に比較的安定な鉄錯体Cp(CO)_2FeMeを触媒前駆体として、溶媒にジメチルホルムアミドを用いて、光照射をおこなうと様々なヒドロシランから脱水素反応によりジシランが効率よく生成する反応を見出した。また加熱条件下でも活性は低下するものの同様の反応が進行することもわかった。さらに末端に3級シリル基をもつビスシラン化合物を用いて、この反応を行うとSi-Si部位を有するポリマーが得られた。これらの反応機構の詳細な検討により、鉄錯体Cp(CO)_2FeMeと3級シランHSiR_3の反応から生成するジシリルヒドリド鉄(IV)錯体Cp(CO)FeH(SiR_3)_2が触媒活性種であることを明らかにした。この反応で生成する水素は脱水素カップリングの反応阻害剤として作用すると考えられるが、系中の鉄錯体を触媒として溶媒であるジメチルホルムアミドとの反応からトリメチルアミンへと変換されることで反応が円滑に進行していることも見出した。次年度は、この反応を用いて光応答や電気化学活性などの機能性部位を有するシランを脱水素カップリングさせることにより、これまでにない機能性ポリシラン合成の可能性を追求する。
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Phosphorus, Sulfur Silicon Relat. Elem 184(in press)
Angew. Chem., Int. Ed 48
ページ: 3313-3316
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http://www.sci.osaka-cu.acjp/chem/cc/index.html