本研究では、トリスピラゾリルボレート配位子を用いて、エクストラジオール型マンガンカテコールジオキシゲナーゼのMn-基質結合体(カテコール基質結合錯体)について、モデル錯体の合成と反応性について検討を行っている。本年度は、カテコール上の置換某を変化させたマンガン-カテコール結合錯体の合成と分光学的性質、電気化学的検討を行った。 カテコール上の置換基の異なる5種のマンガン錯体の合成法を確立することができた。また、その分光学的知見より、電子供与性置換基を有するときカテコール部位は一電子酸化されたセミキノナト状態となり、電子吸引性を有するときにはカテコール(ジアニオン状態)であることが明らかになった。また、ESRスペクトルから、無置換カテコール錯体が複核化している可能性も示され、次年度さらなる検討を行う予定である。 試験的ではあるが、カテコール上が無置換もしくはメチル置換基を有するマンガン錯体では、酸素分子との反応が進行することが分かった。今後、その反応生成物(錯体、有機化合物)について単離・同定を試みる予定である。
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