研究概要 |
我々の研究グループでは,理化学研究所リニアック棟に既設の気体充填型反跳核分離装置(GARIS)を利用し,物理的にビームや副反応生成物から超重核を前段分離し,極低バックグラウンド下で超重元素の気相化学的性質を調べる元素分析システムを開発している.今年度は,理研重イオンリニアックとGARIS直結型ガスジェット搬送システムを用いて,それぞれ^<248>Cm(^<19>F,5n)^<262>Db,^<248>Cm(^<22>Ne,5n)^<265>Sg反応によって生成する超重元素核種^<262>Db(原子番号Z=105)と^<265>Sg(Z=106)の製造を行った.GARISによって質量分離された^<262>Dbと^<265>Sgを化学実験室にガスジェット搬送し,回転式アルファ線連続測定装置を用いて放射線計測したところ,^<262>Dbと^<265>Sgを極低バックグラウンド下で検出することに成功した.^<262>Dbは105番元素の化学実験対象核種で,本成果により,GARIS直結型ガスジェット搬送システムを用いたDbの化学研究が可能となった.一方,^<265>Sgは,これまでその壊変様式が不明確な核種であったが,今年度新たに13個の^<265>Sg原子の観測に成功し,その壊変特性の解明に大きく貢献できた.また,112番超重元素の気相化学研究に向け,GARIS直結型の石英製等温ガスクロマトグラフ分離装置ならびに32個のシリコン検出器で構成される低温ガスクロマトグラフ装置の開発研究を行った.これらのガスクロマトグラフ装置の開発に必要なラジオアイソトープ(RI)は,今年度開発した^<252>Cf核分裂線源用ガスジェットチャンバー,理研リングサイクロトロンならびにAVFサイクロトロン施設に既設のガスジェット結合型RI製造装置を用いて製造した.
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