研究概要 |
本年度は,マイクロ波を利用し,メタクリル酸エスレル系(C12)モノリス型キャピラリーカラムの調製時間の短縮を図った。カラムの調製について,ポリマー反応溶液を内径0.32mmのfusedシリカキャピラリーチューブに満たしてマイクロ波の出力と照射時間を検討し,最適な調製条件を検討した。調製したキャピラリーカラムは,走査型電子顕微鏡(SEM)でのモルフォロジー観察とキャピラリーLCシステムによりアルキルベンゼンを分離することで評価し,比較した。 温度優先制御と出力優先制御により,それぞれマイクロ波照射時間を変え,カラム性能ならびにモルフォロジーについて,マイクロ波を照射しない常法(恒温槽で60℃,24h)と比較することにより検討した。その結果,出力優先制御(200W)で15 min照射した際,短時間にもかかわらず高性能なキャピラリーカラムが調製できることを見出している。調製時間が10 minでは反応が不十分であったが,15 minより長時間マイクロ波を照射することにより骨格が大きくなり,細孔の大きさが小さくなることが見出された。また,理論段数も15 minで照射したカラムがもっとも良かった(10 cmで5500段)。 マイクロ波照射時間を15 minで維持し,マイクロ波の出力および装置内の温度を,それぞれ200~500Wおよび60~100℃間で変化させ検討したところ,200 W 80℃で調製したカラムが最高の理論段数を示した。また,マイクロ波出力は低い方が良いカラムが調製できる傾向であることを見出している。 最適条件で調製したカラムを用いて5種アルキルベンゼンの高速分離を試みた。流量を60.0 μL/minとしたときに4.7 Mpaという低い圧力でアルキルベンゼン5種のベースライン分離を1 minで達成することができた。
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