研究概要 |
本研究は, コンパクトディスク(CD)上に, 試薬と試料の液だめおよび分離・検出を行うマイクロチャネルを作製し, ポンプやバルブなどの可動部なしにCDの回転による遠心力を利用して試薬と試料をマイクロチャネル内に導入し, 試料中の各成分をマイクロチャネル内壁に固定した種々のレセプタータンパク質との相互作用により分離した後, 表面プラズモン共鳴(SPR)現象を利用して検出する, 新規SPRセンサを開発するものである。 本年度は, CD型マイクロチップとその回転装置を開発し, チップ上のリザーバーからの溶液の流動開始とコンパクトディスクの回転速度の関係について検討した。また, 熱流体解析ソフトウェアFLUENT6.2を用いて, シミュレーションによる理論的検討もあわせて行った。これにより, ディスクの回転数を変化させることによりリザーバーからの溶液の流動を制御できることを理論と実験の両面から明らかにすることができた。 一方, SPRセンサの光学系については, グレーティング方式の光学系について検討した。センサチップはガラス基板にグレーティングフィルム(1000本/mm, 深さ100mm)を接着し, これに金を75mmの厚さで蒸着したものを用いた。光源として白色光を用い, これをファイバーコリメーターにより直径3mmの平行光とした後, 上記基板に垂直に照射した。反射光として得られた回折光を偏光子を通してリニアCCDセンサ上に投影して検出した。スクロース濃度と共鳴波長の変化量をプロットした検量線は良好な直線関係を示し, 本光学系の有用性が確かめられた。
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