研究概要 |
本年度は「官能性オレフィン-鉄錯体」を用いるタンデム型環化反応の糊発を検討し, 以下の結果が得られた. 1)塩化第一鉄(FeCl_2)とtert-ブチルマグネシウムクロリド(t-BuMgCl)から調製した鉄反応剤をビスα, β-不飽和エステル誘導体に作用させると, 「官能性オレフィン-鉄錯体」形成後, 系中でメタラサイクルが発生する. このメタラサイクルはジエノレート状態であり, これにsec-ブチルアルコール(s-BuOH)により加水分解することで, 片側のエノレートがプロトン化され, 残存する丼方のエノレートがプロトン化した側のエステルを攻撃する, いわゆるディークマン縮合型の反応が裡こり, 二つ目の環が形成される分子内タンデム環化反応が進行し, ワンポットで一挙に双環性ケトエステルを合成することができた. 2)上記1)と同様に, FeCl_2とt-BuMgClから調製した鉄反応剤を, テザー部分に窒素元素を有するビスα, β-不飽和エステル誘導体に作用させ, 次いでs-BuOH、を加えることにより, 含窒素双環性ケトエステルを効率的に得ることができた. また, 置換基が無いために一般的に環化しにくいことが知られている酸素の場合でも, 同様にオキソサイクルを得ることができた. 3)上記1)と同様に, FeCl_2とt-BuMgClから調製した鉢反応剤を,ビスα, β-不飽和エステル誘導体に作用させ, 次いでアルデヒドまたはケトンを加えるへことにより, アルドールタイプの反応が進行し, 一挙にα位に置換基が導入された双環性ケトエステルを合成することができた.
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