オキシインドール類は、多くの医薬関連化合物に含まれる重要な化合物群である。とりわけ、環外二重結合をもつオキシインドール類は、独特のキナーゼ活性を示し、抗癌薬のファーマコフォアとして注目を集めている。しかし、環外二重結合部位の幾何異性体を立体選択的に合成することは難しく、確立された合成方法が殆どない。そのため精密かつ効率的に合成する方法の開発が強く望まれている。本研究の目的は、遷移金属触媒を用いて入手容易な2-(アルキニル)フェニルイソシアナートから環外二重結合をもつオキシインドール類を立体選択的に合成する方法を開発することである。我々は、既にロジウム触媒の存在下で、2-(アルキニル)フェニルイソシアナートにアリールボロン酸を作用させると、立体選択的に環外二重結合をもつオキシインドール類が得られることを見出している。しかし、アリール基をアルキン末端部位にもつ基質やアルキルボロン酸を用いた場合、目的生成物が殆ど得られないなど、反応の一般性に問題があった。今回、ロジウム触媒からパラジウム触媒にかえると一般性よく反応が進行することを見出した。例えば、フェニル基をアルキン末端部位にもつ基質に、ロジウム触媒の存在下でトリルボロン酸を作用させると、目的生成物が収率13%でしか得られないが、パラジム触媒にかえると、定量的に目的生成物が得られた。また我々は、有機ボロン酸のかわりにアミドを作用させると、オキシインドールの環外二重結合部位にアミド基が立体選択的に導入できることを見出した。さらに、我々は求核剤としてアルコールやチオールを作用させると、立体選択的にアルコキシル基やスルフェニル基も導入できることを見出した。本研究で開発した合成法は、共通する基質を用い、反応試剤を変えるだけで様々な置換基を立体選択的に3-アルキリデンオキシインドールの骨格上へ導入することができるため有用である。
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