研究概要 |
環境調和型有機合成反応の開発を指向し、水中での分子間相互作用による官能基化した三次元的反応場構築法を展開し、安価で、生命に対して重要である亜鉛金属イオンを用いた触媒反応の開発を本研究目的とする。生体内酵素は、水中での分子間相互作用を利用して触媒の形を形成し、高立体選択的、高収率、高い触媒回転数で反応を行う。これに習い、水溶液中での分子間相互作用を利用した新規反応場の構築法を確立する。 そこで、これまでに亜鉛酵素のよいモデルとして報告してきたZn^<2+>-cyclen(cyclen=1,4,7,10-tetraazacyclododecane)を基本骨格とし、側鎖としてプロリンやバリンなどのアミノ酸を導入した触媒を設計、合成してきたが、フェニルアラニンにおいてより高い触媒活性がみられた。また、この反応の反応機構をCV測定によって考察した。さらに、このアルドール反応を利用した糖類の合成へ応用するため、反応に用いることのできる反応基質について検討を行ってた。 一方、三次元的反応場構築のためには、ボロン酸を用いて、空間制御する予定である。そのため、cyclenの側鎖にボロン酸を導入した化合物を合成し、ジオール類を用いて、ボロン酸エステル類の生成の検討も行った。
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