高分子の側鎖に糖鎖を持つ、"糖鎖高分子"を用いて、病原性タンパク質や細菌と効率よく結合する高分子を合成、重合法とその生理活性の検討、また、病原体を除去するための複合材料の検討を行った。平成21年度研究では糖鎖高分子のRAFTリビング重合、及び複合材料形成を通じて、効率のよい複合材料の形成手法の検討、また複合材料の機能解析を行った。また、平成20年度の研究の継続としてグリコサミノグリカンモデル高分子の機能解析についても引き続いて行った。 糖鎖高分子のRAFTリビングラジカル重合では、トリチオール型のRAFT剤による糖鎖高分子の合成について検討を行い、糖鎖高分子の精密で自在な合成が可能になることを示した。また、RAFT剤末端については還元することでチオール末端を持つポリマーとなり、金基板や金微粒子と結合を作る。金基板に対して、Grafting Toの形で糖鎖高分子を結合させて、タンパク質との結合を測定した。マンノース担持高分子では、マンノース認識タンパク質に対する結合とそれ以外のタンパク質では結合量に20倍以上の差があり、特異的な結合を形成するバイオインターフェースを形成していることが分かった。また、硫酸基を持つ糖鎖高分子として、グリコサミノグリカンモデル高分子の機能の検討についても引き続き行った。主鎖を生分解性高分子のγ-ポリグルタミン酸とし、6位硫酸化糖鎖を結合させた高分子を合成した。このような糖鎖高分子とアクリルアミドを主鎖とする糖鎖高分子をアルツハイマーアミロイドβの凝集阻害活性によって評価した。主鎖によって、2つのアミロイドβの凝集阻害活性については大きな違いがあり、γ-ポリグルタミン酸をベースとした高分子の方が凝集阻害活性に優れでいることがわかった。
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