1. 金属イオンテンプレートを用いた架橋網目空間制御星型ポリマーの合成と機能 ナトリウムイオンとポリエーテルスペーサー有するジビニル化合物をトルエン中で撹拌し、クラウンエーテル類似のナトリウムテンプレート内包環状ジビニル化合物(架橋剤)を合成した。このテンプレート架橋剤を用い、リビングラジカル重合により直鎖状枝ポリマーを結合し、ナトリウムイオンをテンプレートとしてミクロゲル核に導入した「ナトリウムイオンテンプレート星型ポリマー」を直接合成した。さらに、メタノール再沈殿により、このテンプレート分子を除去し、ナトリウムイオンの形状・サイズを空孔としてミクロゲル核に記憶させた「テンプレート空孔型インプリント星型ポリマー」を合成した。得られたポリマーは、核をナトリウムイオンによりインプリント化していない星型ポリマーと比べ、カリウムイオンに対しナトリウムイオンを6倍選択的に取り込むことが分かった、以上から、鋳型となるテンプレート分子を架橋時に存在させることで、その鋳型の形状やサイズをミクロゲル核に記憶することができ、ナノレベルで架橋網目空間を精密制御できることが分かった。 2. 金属錯体担持型ミクロゲル星型ポリマー触媒によるリビングラジカル重合 ルテニウム錯体を用いたリビングラジカル重合により核にルテニウム錯体を担持させた星型ポリマーを直接合成後、核内残存オレフィン及びハロゲンを連続的に水素化し、さらに水溶性リン化合物による配位子交換で核内ルテニウムを除去することで、ミクロゲル核にリン配位子を多数有する「リン配位子空孔型星型ポリマー」を合成した。ここに、ルテニウムシクロペンタジエニル型錯体を導入し、メタクリル酸メチルのリビングラジカル重合触媒として用いたところ、従来の低分子ルテニウム錯体と比べ、活性と制御性が向上した。さらに、生成ポリマーとの相分離を利用した、簡便な触媒リサイクルも達成した。
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