研究概要 |
本研究は、超分子集合体と高分子を複合化することにより(超分子/高分子ハイブリッド)、超分子集合体を加工するための方法論を確立し、既存の高分子材料に置き換わる機能性有機材料を開発することを目的とする。特に、超分子集合体に由来した光・電気化学的機能や、優れた機械的強度を有した新しいバルク有機材料の創製を行なう。 超分子/高分子ハイブリッドの合成のために、超分子集合体ドメインを形成し得るビルディングブロックの有機合成を行なった。具体的には、ポルラィリン骨格に、アルキル鎖と水素結合部位を有したポルフィリン誘導体を7ステップの経路にて合成した。また、超分子と高分子との連結部分として、反応性置換基を有したエンドキャップ型ポルフィリン誘導体を4ステップの経路で合成した。これらのポルフィリン誘導体が有機溶媒中において自己集合し、一次元の擬似的高分子(超分子集合体)を生成することを確認した。この超分子集合体は直径が数十ナノメートル程度であることが原子間力顕微鏡観察より明らかになった。これは数分子が束なったサイズと考えられる。また、長さは数マイクロメートルにも及び、軸比は100~1,000程度であった。このような電子顕微鏡観察に加え、吸収スペクトルやNMRスペクトル等を用いて多角的に超分子集合体の構造解析を行った。 今後は、この超分子集合体と高分子とのハイブリッド材料化を行う。高分子の成形・加工性を利用することによって、超分子集合体の機能に異方性を付与することが出来ると期待される。
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