1. 色素分散チタニアゲルーチタニア微結晶傾斜組成電極の作製 ITO透明電極上にチタニア結晶性薄膜を作製し、その上にフルオレセイン色素をドープしたチタニアゲル薄膜を積層し水蒸気処理を行うと、色素は3分の2ほど脱着するが、アモルファスであったチタニアゲルはアナターゼ型の微結晶となり短絡電流および開放電圧の値が増加し光電変換特性の向上がみられた。 この効果を利用して、ITO透明電極上にチタニア結晶性薄膜(下層)および色素ドープチタニアゲル薄膜(中間層)を積層し、水蒸気処理を行い、さらに色素ドープチタニアゲル薄膜(上層)を積層した。中間層の色素ドープチタニアゲル薄膜は水蒸気処理により色素ドープ微結晶薄膜へと変化し、下層のチタニア結晶層、色素ドープチタニア微結晶層、色素ドープチタニアゲル層のようにチタニアから色素へと組成が変わる傾斜組成電極を作製することができた。また比較のために、中間層のない電極や色素を含まない中間層をもつ電極、ITO電極への電子注入を検討する上でカーボンナノチューブとの複合電極も作製した。 2. 電極の電気化学測定 3層からなる傾斜組成電極は中間層のない電極に比べ高い光電変換特性を示し、水蒸気処理による導電性の向上と傾斜組成が電子輸送効率の向上に寄与していると考えられる。中間層に色素を含まないチタニア微結晶薄膜を作製した場合でも中間層のない電極より高い光電変換特性を示し、チタニア結晶、チタニア微結晶、チタニアゲルの3層構造による伝導帯下端電位の階段構造により界面における逆電子移動が抑えられ電子注入がスムーズにおこるようになったと考えられる。
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